アイディア・発想法

思考の整理学

「考えるというのは、どういうことか。思うのとどう違うのか。知るのとの関係はどうなのか。いかなる手順をふんで考えているのであろうか。そういうことを改まって反省することは、まず、例外的であろう。
気がついてみると、われわれはそれぞれ、いつのまにか我流の考え方、自分だけの考えのまとめ方をもっている。
とくに自分で工夫したということもなく、自然にある型のようなものができ上がっている。やっかいなのは、その型をみずからでは、はっきり自覚することは困難なことである」(引用)

本書は、少し古い時代になりますが、
知識重視の人間(本書ではグライダー人間)では今後のコンピューター社会には通用せず、独力で創造性をもたせる人間(本書では飛行機人間)になる必要があると説明しています。
その創造性を養っていくための、思考スキルについて紹介しています。

この本のすごいところは、30年以上前に書かれているのに、現代にもまさしく当てはまっているところです!
書かれた時代的に、アナログ要素は強いですが、現代ではこれがデジタルに置き変わっているだけなので、本質は変わらず、考える思考スキルをつける上で非常に便利になる部分が多いです。

コンピューターの出現により、これまで人間しかできないと思われていた記憶と計算をコンピューターがいとも簡単に出来るようになりました。そこで、これまで当然とされた機械的思考(記憶や計算など)に終止符を打ち、人間は機械の手の出ない、もしくは出しにくいことを出来るようにしていく必要があると説明しています。
現代に当てはめると、AIが定型業務を担うのと同じことといえるでしょう。
現在、価値のある仕事、稼ぐための仕事をするためには、創造的・独創的なスキルに注力していく必要があります。

本書の思考スキルをつける上で、具体的に私が勉強になったところ、行動していきたいと思ったところを個人的な解釈含めて説明します。

ひとつにこだわらない
「ひとつだけだと見つめたナベのようになる。これがうまく行かないと、あとがない。こだわりができる。妙に力む。」(引用)

仕事の業務では1つの事しかしていないと、自分より優秀な者がいた場合や業務で失敗した場合は後がありません。
複数の業務スキルをつけていく必要性があり、そうすることで心に余裕が生まれ、仕事の成果も大きくなると考えています。

必要な情報を選別する
「飽和状態に達したら、逆の原理、削り落し、精選の原理を発動させなくてはならない。つまり整理が必要になる」(引用)

現在は情報化社会であり、欲しい情報が迅速かつ大量に入手できるでしょう。
ただし、皆さんも経験があるかと思いますが、いろんな情報を吸収すればするほど、覚えたこと聞いたことを忘れてしまうことが多いのではないでしょうか。
また、たくさんの情報がありすぎるあまり、判断ができない経験をした方もいると思います。
情報を増やした場合、このような弊害が出てきます。
そのため、情報を選ぶ(不要な情報をすてる)必要があります。

他にもためになる部分が多数あります。

基礎的な頭の整理や思考スキルを養う上で最適な本です。

最後に、ためになった部分をピックアップします。

調べるときに、まず何を、何のために、調べるのかを明確にしてから情報収集にかかる。気がせいていて、とにかく本を読んでみようというようなことでとりかかると、せっかく得られた知識も役に立たない(P86)

書き留めてある、と思うと、それだけで、安心する。それでひととき頭から外せる。しかし、記録を見れば、いつでも思い出すことができる(P97)

頭の中で、あれこれ考えていても、いっこうに筋道が立たない。混沌としたままである。ことによく調べて、材料がありあまるほどあるというときほど、混乱がいちじるしい。(中略)
気軽に書いてみればいい。あまり大論文を書こうと気負わないことである(P135)

いい考えが浮んでも、そのときにすぐにおさえておかないと、あとでいくら思い出そうとしても、どうしても再び姿を見せようとしない場合もある(P147)

「・・・ではなかろうか」「・・・と考えられる」といった表現を用いていれば、創造的なことが生まれやすい(P158)

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