仕事

自分の考えを最速でまとめて伝える技術

効率的に良質なアウトプットを出していくには、どうすれば良いでしょうか。

本書は、15社の経営コンサルタント業務、年12回のセミナー開催、全国200カ所での講演、月に8回のテレビ番組出演、月10本ほどのウェブや雑誌などの連載、単行本執筆など超多忙な中でも細切れ時間を捻出しアウトプットを生み出す著者小宮一慶さんの最速で成果が出る方法について紹介しています。

本書は以下の「読む・書く・考える」をベースにすぐ出来るところからちょっとした工夫まで幅広く説明しています。
第1章
時間と気持ちをコントロールする技術
第2章
「読む」を最速化する技術
第3章
「考える」を最速化する技術
第4章
「書く」を最速化する技術
第5章
仕事の質と効率を押し上げる極意

本書の中で繰り返し言われているのが、
「仕事は良質なアウトプットがすべて」ということです。
良質なアウトプットには、数と中身が大切です。
サラリーマンの方なら体感していることと思いますが、仕事は経験値に比例します。
この点では、「数」をこなすという点で補うことができます。
ただし、何年も仕事をして経験が積めば誰でも良質なアウトプットができるかと言えば、そうでないのが現状でしょう
私の周りでも、数年しか働いてなくても1を聞いて10やる人もいれば、何十年もそこにいるのに1を1でしか返せない人がいます。

後者の場合は、当然重大な仕事を任せてもらえず、成果の高い良質なアウトプットまで出すことは出来ません。

このアウトプットの「中身」を良くしていくには、まず「読むこと、考えること」のインプットが先であり、次に「書くこと」のアウトプットが必要であると説明しています。

本書は読んですぐに効果が出るものではありません。ただし、これらを実践していくことで確実に成果が上がっていくことでしょう。

本書で私が特に勉強になったところは、考えるサイクル「関心→仮説→検証」です。
たとえば、「最低賃金が3年連続3%の大幅引き上げ」という記事に対して、なぜ大幅に引き上げされるのか(引き上げしなければならないのか)との原因を考えます。
私は個人的な仮説として、「労働格差の増大防止」、または視点を変えて「景気向上の一環」あたりを1つのキーとして考えてみました。
調べてみたところ、
労働生産性を高めるため ー 否応でも賃金を上げれば生き残るために企業は生産性を高める動きになるとの考えのもと賃金引き上げを進めているとのことでした。
(日本の生産性を国際比較してみると、36カ国中20位と下位のようです。)

引き上げの要因は、企業の生産力向上→景気向上がねらいのようです。(あくまで1つの見解のため一概には言えませんが…
ここでは割愛しますが、上の仮説2つを調べて何が関連するか検証することも大切です。)

このようにある出来事に関心を持ち、自分なりに仮説を立てて関連することを調べて、原因について深掘りしていけば、アウトプットの質も格段に上がります。

仕事はスピードが肝心との価値観を持っていた自分にとって、改めて考えさせてもらえた本でした。

仕事でスピードはあるけど何度も手直しをされる方、いろんなインプットはしているけどアウトプットが出来ない方などは読むと勉強になることが多いと思います。

以下、ためになったところをピックアップします。
簡単な仕事をいかに深く掘り下げられるかを考えていくこと。あるいは、それを質を落とさずにいかに早く済ませるかを工夫することです(P44)

スムーズに仕事をはじめるには、何が、どこにあるのか、きちんと把握しておくこと。つまり、「すぐに取り出せる」ようにしておくのが大切です(P52)

良質なアウトプットを出し続ける経験を積めば、速さだけを追い求めてきた人より仕事は速くなり、かつ、質の高い仕事がたくさんできるようになります(P58)

経験則として、論理レベルを上げようと思うなら、その分野の第一人者が書いた本を読むと間違いないです(P91)

ざっと見積もって、50時間、熟読にふさわしい本を読み込めば、専門家レベルに達します(P94)

ある著者の専門書を読んだら、さらに専門書を読むことも役に立ちますが、その人の書いた入門書に戻って読んでみることもおすすめです(P96)

仕事はつらいもの、つまらないものと半ば諦めたように言う人がいますが、本来は、すごく面白いものです。
ビジネスマンは、人生の多くの時間を仕事に費やすのに、仕事の面白さが分からないままなんて、すごくもったいないと思います(P111)

定義の曖昧な言葉はすぐに調べる、数字が出てきたら必ず裏づけを取る(P114)

仮説を立てて、検証を重ねる。この行為そのものが、物事を深く掘り下げ、論理レベルを引き上げることにつながります(P129)

「話す力」を伸ばすには、基本的には、これまで「書く力」で述べてきたことを応用すればいいだけです。すなわち、誰に話すのか確認してテーマを決め、話す前におおよその構成を考え、話すときは、「バリュー」や「インパクト」を意識すればいいということです(P185)

常に、全力で取り組む。はじめは、時間がかかっても自分としては100%のものを仕上げる。その気持ちが大切です(P197)

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