本書はマーケティング初心者にはうってつけの本です。
マーケティングを難しいと考えてる方は、楽しく親しみやすいものに変わると思います。
「マーケティングとはわたしたちが毎日のように体験し、自然に感じている当たり前のことばかりだ」(引用)
本書ではマーケティングとは、「売ること」そして「買うこと」であり、以下の4つを基本概念としておさえれば、マーケティング脳が鍛えられると説明しています。
①ベネフィット顧客にとっての価値
②セグメンテーションとターゲティング顧客を分けて絞る
③差別化競合よりも高い価値を提供する
④4P価値を実現するための製品・価格・販路・広告
(引用)
「ベネフィット」
買うという行為は、そのもの自体は物(またはサービス)でありますが、それを買う理由には「顧客にとっての価値」が潜んでいます。
例えば、有名なラーメン店でラーメンを食べる場合は、ラーメンそのものより、有名でおいしいラーメンを食べることの満足感や優越感が顧客にとっての価値になるでしょう。
旅行チケットを買う場合、チケットそのものには価値はなく、チケットを通して行く、旅(新しい場所や恋人と行くワクワク感)そのものに価値があるから、買うのです。
このように、対価として得るベネフィット(価値)に注目していくと、マーケティング脳が一段上がるでしょう。
「セグメンテーションとターゲティング」
以前のブログでも説明しましたが、ターゲットが定まっていないと、特徴のないサービスや商品になってしまいます。
お店に行くと分かりますが、ほとんどの商品がターゲットを定めています。
例えば、マクドナルドやロッテリアは、安さと会話をしたい若者向け、吉野家やなか卯は忙しいサラリーマンや単身赴任者向け、大戸屋は健康志向の人向けなど、それぞれベクトルは違ってもターゲットを選定しています。(※ターゲットはあくまで例です)
加えて、セグメンテーション(属性)もセットで考えていけば、狙うポジションが決まり、ヒットする確率が高くなります。
セグメンテーションの分け方は本書を読めばわかります。
「差別化」
上の2つだけでもマーケティング脳がつきますが、これだけでは商品・サービスは売れないと説明しています。
なぜなら、競合がいた場合に「差別化」がないと、負けてしまうからです。
本書では、「差別化」をする上で、「手軽軸、商品軸、密着軸」の3点を軸としており、ターゲットの特徴を把握し、これらの差別化を選定していく必要があります。
「4P」
最後はマーケティングの基本4Pです。
Product→製品・サービス
Promotion→広告・販路
Place→流通・チャネル
Price→価格
出来上がる商品・サービスで、4つのどれを活用するか、またはどの組み合わせで攻めるか考えていく必要があります。
そしてら「ベネフィット、セグメンテーション・ターゲティング、差別化」と4Pとで融合させて、一貫性を持たせると妥当な戦略となります。
これらを最終的に包括させたのが、本書のストーリーであるイタリアンレストランの改善企画になりますので、読んでみると勉強になります。
以前、採用活動や離職防止に向けた取り組みを実施していましたが、上記の概念は商品企画以外でも参考になります。
あと、マーケティングの勉強は心理学にも関わってくるので面白いです。(人間が物を買う動機)
マーケティング脳を鍛えたい方はもちろんですが、WEB集客を考えてる方も活用できるので、オススメの良書です。
以下、参考になった部分をピックアップします。
マーケティング脳を鍛えるには、自分の身の回りから学べばよい。何かを買ったとき、買わなかったときに「なぜこの商品を買ったのか?」「なぜこの店で買ったのか」と考えていけばよいのだ(P15)
マーケティングとは、本質的には「顧客にとっての価値」を売り、その対価として、顧客からお金をいただくことだ(P45)
「狙う」こととは「絞る」こと(P85)
ベネフィット、ターゲット、差別化、4Pが一貫していなければ、それは「謝り」だ。つまり「売れない」ということになる。それぞれの要素も重要だが、それ以上に重要なのが各要素間の流れるような美しさや一貫性なのだ(P205)