日本人のイメージは人によって様々だと思いますが、どちらかというと集団的イメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
(私はそう思ってます)
「世界価値観調査(World Value Survey)」が80か国以上の人々に以下の調査を行いました。
◯ここに近い将来起こると思われるいろいろな生活様式の変化が挙げてあります。もし、そういうことが起こった場合、あなたはどう思われますか。
よい(好ましい)ことだと思いますか。
この質問のうち、「権威や権力がより尊重される」について、「よいこと」と回答した比率が日本は3.2%でした。
先進国ではフランスが84.9%、アメリカで59.2%、権威的な体制への批判が多い中国でも43.4%でした。
日本はダントツで権威や権力が嫌いな国であることがうかがえます。
本書では日本人の行動特性や趣向、またこれまで常識と思われていたことの意外性に気づくことができます。
よくありがちな協調性や集団行動といった日本人らしさは実は違っていて、
みなさんが感じている日本人像についてギャップを感じると思います。
また、上記の調査では以下の質問もありました。
A親が私を誇りに思うように努めることが人生の目標のひとつである
B他人に迎合するよりも、自分らしくありたい
C友人の期待に応えるように努力している
D自分の人生の目標は自分で決める
この調査で1番個人主義的な回答(BやD)になった国はどこでしょう。
意外にも日本です。
日本は、Bが84.9%、Dが93.1%という結果でした。
そして、Aが54.6%、Cが38.5%という低い結果です。
アメリカ・中国・韓国で比較した場合、AとCついては、アメリカC(28.3%)以外すべて日本より高い結果でした。
こうしてみると、日本人は個人主義な傾向が強いようです。
政治の世界でも小泉元首相や橋本元府知事が圧倒的な人気を博していたのも、こうした日本人の個人主義からきていると伝えています。
本書は、「日本人とは」の問いに対し、歴史的社会的背景を含めながら、
政治、経済、生活習慣において、日本人の特性について説明しています。
そうした背景がわかると、仕事での取り組み方やお金の稼ぎ方、上手な世の渡り方など普段の行動にも十分勉強になると思います。
人生戦略を考える上で参考になる良い本となりました。
以下、タメになった部分をピックアップします。
・私たちが生きていくうえでもっとも大事なものは、家族や恋人などとの関係(愛情空間)だ。愛情空間のまわりには親しい友だちとの友情空間があり、さらにその周囲には、先輩・後輩や上司・部下を含めた「知り合い」がいる。これが政治空間で、そこに〝敵と味方〟世界でもある。(P53)
・日本の社会は、「空気」と「水」というふたつの相反する原理で動いている。もちろんこれはどんな社会にもいえることだが、あえて「日本人の特徴」を挙げるとすれば、さまざまな価値観調査から明らかなように、その、世俗性がきわめて強いことだ。(P170)
・地縁や血縁を放棄してしまった日本人は、イエとしての会社がなくなってしまうと、もはや所属すべき共同体はどこにもなくなってしまう。これは社会的動物としてのヒトにとって、とてつもない恐怖だ。
おそらく日本人は、外部のちからによって強引にもぎとられるまで、イエとしての会社を手放そうとはしないだろう。日本的雇用が危機に瀕するほどに「会社」は貴重になり、ひとびとはそこにしがみつこうとする。(P182)
・国際的な価値観調査によれば、日本人は世界でもっとも世俗的な国民だ。
日本人は世界の誰よりも、「他人に迎合するよりも、自分らしくありたい」「自分の人生の目標は自分で決めたい」と考えている。
(P418)