「書くことは考えることだ。だから書くために必要なことを、自分の頭で考える方法がわかれば、文章力は格段に進歩する。」(引用)
あなたは、文章を書くのが得意ですか?
それとも苦手ですか?
書くことは考えることです。
しっかり考えていないと文章を書くことは難しく感じます。
著者は、ベネッセコーポレーションに入社し、小論文通信教育に携わり、「encollege小論文」の編集長の立場を始め、講演・執筆活動など考えること、書くことに尽力されている、文章のプロです。
この本を読んで実感したことは、書くスキルと考えるスキルは一緒だということです。
Aという大きな問題を解決しなくてはならない場合、Aにわたる細部から問題を探っていきます。
文章についても、Aという問いについて書く必要がある場合、そのAの細部にわたる問いをひとつずつ見つけて、解を出していくということです。
ベイビーステップまで落とし込む方法は、ロジカルシンキングなどで登場するロジックツリーの手法と同じです。
文章を構成していく上では、以下7つのポイントをおさえる必要があると説明しています。
1.意見
一番言いたいことは何か?
2.望む効果
だれが、どうなることを目指すのか?
3.論点
問題意識はどこに向かっているか?
4.読み手
読み手はどんな人か?
5.自分の立場
相手から見たとき、自分はどんな立場にいるか?
6.論拠
相手が納得する根拠があるか?
7.根本思想
根本にある想いは何か?
文章を書く上で、「言いたいことがたくさんありすぎてうまくまとめられない」や「結局何を伝えたいのかわからない」などの状況に遭遇することがあると思います。
そのような時に、しっかり自分の意見を出すための思考法として、「問い」を持つことが紹介されています。
「自分で〝問い〟を立て、自分で〝答え〟を出す、さらに、その答えに、新しい問いを立てる。問い→答え→問い→答えを繰り返していくことで、考えは前にすすむ」(引用)
ポイントは大きな問いで答えを見つけるのではなく、細分化した小さな問いからひとつひとつ答えを洗い出していくことです。
さらに、「問い」を広げていくには、「時間軸」と「空間軸」の視点を持って捉えていくと考えが広がりやすいといえます。
これらが整っていけば、自分の意見が出来上がります。
もう1点、文章構成で大切なのが「論点」になります。
「論点」を身につけると、文章作成において抜群の効果を発揮すると説明しています。
誤解されがちなのは、「テーマ」と「論点」が一緒になってしまうこと。
例えば以下のように、テーマはあくまで議題、論点は問題意識のことを指しております。
テーマ:若者のファッション
論点:アメリカンカジュアルなファッションが売れている理由は何か?
テーマよりも論点を設定した方が、読む側のイメージが格段に上がり興味をそそらせます。
上記の内容をはじめ、本書では文章作成におけるポイントについて分かりやすく説明しており、その後に具体例→上級テクニックの紹介など、文章を作る上で非常に参考になります。
セールスレター、提案書、レポート・報告書、ブログ記事作成など、文章に携わっている方には、おすすめの一冊です。
以下、たまになった部分をピックアップします。
何ごともあまり考えない、考えてないことにさえ気づかない人は、一見オメデタイ人のように思えるのだが、実は深く傷ついている(P12)
大問題にいきなり結論を出そうとすると、考えるのが面倒になるか、陳腐な結論になるか。そうして書くことがいやになってしまう(P20)
自分の文章のねじれを修正するためには、書いた文章の、論点と意見が呼応しているかどうかを確認すること(P71)
同僚・上司・後輩、同じことを書いても、結果が違うということは、3者に同じ結果を出すためには、相手に応じて書き分けをしなければいけない(P85)
出席者が、「何を」話しているかではなく、「何について」話しているか?発言の裏にある、「問い」つまり論点に注目して聞き、メモをとる。
いい発言をする人、また、会議の流れを変えるような人は、必ず、「いい問い」を持っている(P146)
読み手は文章を全部読んで、いいか悪いかを決めるのではなく、ぱっと見て読むか読まないのかを決める。だから、コミュニケーションの最初のところで、相手の「読みたい」という気持ちをしっかり引き出しておけば、長い文章でも読んでもらえる(P200)