問題解決・ロジカルシンキング

問題解決力を高める「推論」の技術

「これからの時代に必要な能力は左脳と右脳を自由自在に駆使しながら、未来の可能性を見いだす推論力であると断言できる」(引用)

ビジネスで壁にぶつかった時など、どこかに答えがあるのではないかと、答え探しに出ると思います。
そうなると、インターネットで調べたり、本を読んで勉強したり、あるいは結果を出している人から聞いたりという行動を始めると思います。

ただし、現在は「VUCAの時代」です。
これは、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字を取ったものです。
こうした先がはっきりしていない時代では、絶対的な正解を求めても問題解決には至らないため、未知なものに対する「推論力」をつけていくことが重要であると伝えています。

推論力=未知の事柄に対して筋道を立てて推測し、論理的に妥当な結論を導き出す力(引用)

なぜ推論力が必要なのか。
それは、ビジネスの基礎となる以下5つのスキルがつくからです。
・ビジネス思考力
・分析力
・コミュニケーション力
・生産性
・提案力

ビジネス思考の基礎である、物事の「前提」から「結論」までつなぐこと、このプロセスこそが推論であり、
上記の考え方を用いると、
新しい企画や新商品の開発などを突然依頼された場合、どうしたら良いかわからないという事態を防げることができます。

また、推論力を備えると多範囲の場面で活用できることがメリットとして上げられます。

推論力は3つの使い方になります。
それは、「帰納法・演繹法・アブダクション」です。
とくに、「帰納法」と「演繹法」は別の記事でも重要性について伝えてきました。
これらについて書かれた書は多くありますが、本書は実践するのに最適だと感じてます。

それぞれ勉強になったポイントを説明します。
(1)帰納法
「複数の物事から共通点を発見して結論を導き出す推論法のことを指す」(引用)

帰納法の考え方の流れは以下になります。
①事実A、事実B、事実C

②共通点の発見

③結論

帰納法は、ビジネスの法則性を発見したいときや新たな戦略を考える際に有効です。
ただし、一風変わった複数の異なる事実から共通点を探るとなった場合、慣れてないと中々難しいと思います。
そこで、本書では、多面的な視点で捉えるための切り口についてたくさん紹介されています。

また、帰納法の応用として使いこなせると役に立つのが、アナロジー(類推)です。
これは、見えていない事実を発見して、そこから発想へとつなげていくものです。

たとえば、売上は見えている事実だが、その売上は中期的視点で考えているのか、あるいは月次の売上数値として考えているのか、など意味合いは大きく異なります。このように、視野を広げるクセがビジネスの戦略を作る上では重要です。

(2)演繹法
「前提となるルールに物事を当てはめて、当てはまるか、当てはまらないかで結論を出す」(引用)

演繹法の考え方の流れは以下になります。
①前提となるルール

②当てはまる物事

③導かれる結論

演繹法は、ビジネス予測、提案の良し悪しを検証する時に有効です。
ただし、①の前提となるルールが曖昧であると、中々信憑性の高い結論が難しくなります。
そのため、前提ルールをしっかりさせるため、以下の6つの項目のどれかで考えることを勧めています。
・目的
・目標
・方針
・ビジネス上のセオリー
・価値観、カルチャー
・法則

演繹法は学ぶだけでは中々習得が難しいと思うので、実践して覚えていくのが1番良いでしょう。

(3)アブダクション
「起こった現象に対して法則を当てはめ、起こった現象をうまく説明できる仮説を導き出す推論法」(引用)

アブダクションの特徴は「法則の当てはめ・入れ替え」になります。

たとえば、
現象:フリーランスが増えた
法則当てはめ:個人での仕事の種類が増えると、フリーランスが増える
結論:フリーランスが増えたのは、個人で出来る仕事の種類が増えたからだ

また、別の例を上げると
現象:個人での仕事の種類が増える
法則当てはめ:離職率が上がるとフリーランスは増える
結論:フリーランスが増えたのは、離職率が上がったからだ

さらに掘り下げると、
現象:離職率が上がる
法則当てはめ:少子高齢化で人手不足になると、一人当たり負担が大きく会社より個人で働きたいと考えるため結果的に離職率が上がる
結論:フリーランスが増えたのは、少子高齢化による人手不足が原因だ

アブダクションのスキルが身につけば、仮説思考力が上がり、スピーディーに質の高い結論を
出すことができます。

本書は、目から鱗の内容でした。
数多くのロジカル本を読みましたが、本書は際立ってクオリティが高いです。
本書で書かれている手法を実践し自分のものにしていけば、推論力というスキルを手に入れ、自信がつき、今後変化の激しいビジネス社会で十分通用する力がつくことでしょう。
私も本書を読んだばかりなので、ぜひ実践していこうと思います。

以下、タメになった部分をピックアップします。
・ビジネスの世界では「何をやらせても優秀な人」が存在するが、「何をやらせても優秀な人」の共通点は、どんな些細な事実からも「見えないもの」を見抜き、それらを洞察的帰納法で「法則化」し、さまざまな分野に応用する習慣を持っていることだ(P91)

・精度の高い仮説を立てられる人は、ほぼ例外なく日々の経験から洞察的帰納法を駆使して「ああなれば→こうなる」という「法則」を自分の頭の中にストックしている(P205)

・人は「自分が考えられる範囲」だけが「自分が見えている世界のすべて」となる。だとすれば「思い込み」や「決めつけ」は、あなたを狭い世界に閉じ込めるのと同じだ(P289)

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