仕事をすれば、必ずと言っていいほど直面する「問題」。
その「問題」に対して、どう対応していくかで仕事の結果は変わっていきます。
本書は、問題解決における手法を以下のステップでPDCAサイクルに沿って説明しています。
1問題解決の手順
2問題の特定
3原因の追求
4課題の設定
5対策の立案
6対策の実行
7評価と定着化
それぞれポイントを説明します。
「1問題解決の手順」
ステップは、
WHERE(問題がどこにあるか)
↓
WHY(問題の原因は何か)
↓
HOW(どうすればよいか)
ここでのポイントは「WHERE」です。
原因や対策を検討する前に、どこに問題が発生しているのか見極める必要があります。
ここが抜けて、「WHY」や「HOW」が先に走ってしまうと最適な対策を打つことができない可能性大です。
たとえば、英語ができないという事象に対して、「聞くことができない」「話すことができない」「書くことができない」あるいは「そもそも全部できてない」なのかによって、突き詰める原因が違います。
まずは、「WHERE」から考えていく必要があります。
「2問題の特定」
この章では、「WHERE」の問題特定において「全体を正しく捉えること」「絞り込み方」「論拠の付け方」について、紹介しています。
正しい問題特定を向けるための考え方について学べます。
「3原因の追求」
「WHERE」で問題特定が出来たら、次は「WHY」により原因を考えていきます。
問題特定では「どこ」に視点を置いていたことに対し、原因追求は「なぜ」に視点を置き深掘りしていきます。
深掘りしていき、原因が大きいものであれば分解作業を行い、真の原因を把握していきます。
ここでは、「なぜなぜ」と何度も繰り返し考えていくことが重要になります。
私個人的によくありがちなのが、のめり込んでしまうと、なぜなぜと考えているうちに「論理が飛躍してしまう」ことがあります。原因追求の作業をする際は、つい因果関係がつながっていないことがあるので、結果と原因が合っているか確認する作業も必要と感じてます。
「4課題の設定」
そもそも問題には2つの種類があります。
ひとつは、全員が共通の認識をもっている「発生型」の問題、
ふたつめは、みる人によって問題か否かによる「設定型」の問題です。
この2つの問題によって進めていく対応が違います。
「発生型」の問題は、上記ステップの「WHERE」と「WHY」を用いながら課題を設定していきます。
一方、「設定型」の問題は、
はじめにあるべき姿を考えて、そこに至る道筋を決めていきます。
以下の3つを軸に、より具体化させあるべき姿のを設定する方法について説明しています。
・大目的の視点(何をやりたいか)
・内部環境の視点
・外部環境の視点
「5対策の立案」
対策に結果が出るための要素として、
・成果につながるように、成功要因を見極めること
・わかりやすく具体的に進めること
・着実に実行できること
が上げられ、全体への影響を考えながら進めていきます。
「6対策の実行」
ついに対策を実行する段階になります。
ここでは、しっかり遂行していくために、「タスクの見える化」について、効果性を説明しています。
ゴールを明確にし、タスクを細かく実行レベルに分解し始まりと終わりに分けて考えることを紹介しています。
また、現在の状況がモニタリングできるようKPI(プロセス管理指標)の設定についても紹介しています。
「7評価と定着化」
さいごは、対策実行後の評価(チェック)になります。
次のアクションを定めるために評価を検証することは大変重要です。
やりっぱなしになっていないか、無駄な対策を実行していないかなどチェックしていく必要があります。
特に多いのは、計画→実行→計画→実行の繰り返しとなって、評価を怠っているケースは案外多いのではないかと思います。
評価をしないことで、本来の目的からずれ的外れなアクションになっている恐れもあるため、評価を行う必要があります。
また、評価して結果良かったところは標準化(マニュアル化)し定着させていくと組織としての相乗効果が高まります。
仕事の問題解決にはうってつけの本です。
ただ全てをしっかり覚えるには、一回読んだだけでは難しいので、何回も読み返して覚えていくことでいざ仕事で活用したい時に役に立つと思います。
まずは問題特定と原因追及を極めたいなど、ポイント毎に段階を踏んで覚えていくのも良いと思います。
決して簡易な本ではありませんが、読む価値は大アリです。
以下、ためになった部分をピックアップします。
・肝に銘じてほしいのは、「切り口探しに王道はない」ということだ。「感度のよい切り口」を見つける単純な公式などない。トライ&エラーを繰り返しながら発見していくしかないのだ(P80)
・問題には2種類ある。「発生型」と「設定型」だ。わかりやすくいえば、誰がどう見ても問題と思う。すなわち関係者のあいだで共通認識ができあがっているものが「発生型」、見る人によって問題だと思う・思わないがブレるため、〈あるべき姿〉に照らして問題かどうか説明しなければならないものが「設定型」である(P186)
・私たちは対策を「意図を持ってこれまでと違うことをおこなうこと」と定義している。これまでと同じことをいくら一所懸命やっても問題はいっこうに解決されないだろう。その程度で解決されるならば逆に今までの取り組みは何だったのか?という話だ。現状の原因構造のどこかを変えうる〈これまでと違うこと〉が対策には必須なのである(P255)
・標準化・横展できていない理由として最もよく耳にするのが「忙しいから」である。企業を取り巻く環境は刻々と変わりつづけるため、一つの問題を解決したと思っても次から次へと別の問題が出てくる。(中略)
標準化・横展しないとどうなるだろうか。一度考えてみてほしい(P334)