私は10代の頃から人の心の動きに興味があり、心理学関連の本を図書館などで多く読んでました。
その中でも本書は、わかりやすく人の心の中身を把握する上で大変勉強になります。
まず、始まりから面白い内容でしたので、少し紹介します。
内容はじゃんけんです。出来れば想像しながら実践してみてください。
「最初はグーからいきますよ。
最初はグー。じゃんけんぽん」(引用)
あなたは、何を出しましたか?
おそらく、グーを出し方が多いではないでしょうか。
仮にグーを出した場合、なぜそれを選んだのでしょう?
こう聞かれると明確に答えられない方が多いと思います。
おそらく、ただなんとなくという回答が多いのではないでしょうか。
これは、人間が無意識に行なっているからです。
そして、実は「最初はグーからいきますよ」と言われたことにより、潜在意識が無意識のうちに反応しています。
本来自由な意思で選んでいるはずの選択が、結果として無意識に相手にコントロールされたことになるのです。
このように、心理学をマスターしている上級者たちは、心理誘導を巧みに使い、ビジネス、恋愛、人間関係などコントロールしているのです。
本書は以下の構成で、人の心の操り方について紹介しています。
第1章 無意識に働きかける技術
第2章 心を読む技術(マインドリーディング)
第3章 行動やしぐさで操る技術(サブリミナル)
第4章 言葉で操る技術(話し方)
第5章 操られない技術
本書で私がより学んだところについて紹介します。
「本音を見抜くこと」
相手の言動や行動が必ずしも本心と一致しないことは多いと考えてます。
たとえば、表面的には明るく振るまっているけどそれは自分が辛くて苦しい部分を見られたくない裏返しだとか、「大変だ」「できない」と言っている人は、単純にそうなりたくないだけで実は大した大変ではないなど、身近でこうした例は目にすることがあると思います。
また、最近多いのが、SNSなどで生活が充実していることをアピールするような行動です。これらも内層を捉えていくと実は一概には言えないことが見えてきます。
「幸せを意識しなければならないのは、幸せではないから」(引用)
全てではありませんが、これらの行いは、「幸せを必死に見せつけたい」「みんなもやってるから取り残されたくない」などの、行動の結果かもしれません。
このような時に、本心を探っていくには、相手の言葉の正反対の観点で捉えてみると本心がわかってくると説明しています。
「サブリミナル効果」
冒頭のじゃんけんでも説明しましたが、人間は無意識の力で大きく行動に影響を与えています。
何か誘いをするときは、話しながら頻繁に頷きを加えることやボディランゲージにより無意識のうちに誘導させるなど、テクニック的な部分が紹介されて参考になります。
「相手に操られない方法」
人の操り方ばかりでなく、相手にも操られない方法も紹介しています。
特に、操られ方で恐ろしいのが、否定的ダブルバインドという、どちらを選んでも否定され、逃げ出すことも許されない状態になった場合です。
たとえば、仕事上の失敗に対して「何で相談しなかったんだ!」と言われる一方、「そんなこといちいち相談しないで自分の頭で考えろ」というような矛盾した状態を表します。
こういうケースは案外多いのではないかと思います。
こうした時には、知らぬうちに自信喪失の洗脳に陥ってしまう危険性があります。
本書では、このように、自分ばかりが犠牲を被られるように感じたら、相手の中の矛盾を探すようアドバイスをしています。
相手になんでも委ねるのでなく、自分自身で決めていくのがポイントになります。
本書を読めば、人の心を操ることは案外簡単だと思うかもしれません。
人間心理・心理誘導に興味がある方は、大変勉強になるのでおススメです。
あと、人の心の動きを知るためには、ひたすら人の動きを観察することが大切ですね。(私の経験上)
以下、ためになった部分をピックアップします。
・一般に、無意識のしぐさは顔から遠くなるほど顕著になります。P53
・長所を好きな理由にあげる場合、それはその人のコンプレックスを表している可能性がありますが、短所を好きな理由にあげる場合、それはその人自身を表している可能性があります。P63
・「部分が全体を表す」ということは、「部分が変われば全体も変わる」ということでもあります。もしあなたが、自分の性格を変えたいと思っているなら、いきなり全部を変えようとするのではなく、目の前の小さなことから変えた方が確実です。P68
・頷くことは、相手を安心させ、心の距離を縮める最良の方法なのです。P96