問題解決・ロジカルシンキング コピーライティング

考える技術・書く技術

本書は、私が読んだロジカルシンキング本の中でベスト3に入る良書です。
内容は、論理的な文書を作成するための実用書になります。
ピラミッド構造を用いて、わかりやすく上手に書く技術をつける方法になります。

本書は、以下4つの構成で書く技術の手法について説明しています。
1.書く技術
2.考える技術
3.問題解決
4.表現の技術

ページ数が多くすべてを説明すると膨大になるため、特に私が勉強になったのが「1」と「2」になりますので、そこについてポイントを紹介します。

「1.書く技術」
まずはじめに考える時は、ピラミッド構造にするということです。
そして、ピラミッド構造の作り方には2種類あります。
・トップダウン配列
まず全体要約して、そのあと個々の考えを入れる
・ボトムアップ配列
個々の考えを入れて、最後に全体要約(答え)を出す

このピラミッド構造の配列を基本に、論理的に構成を考えていきます。
ここで、構成を考える際に気をつけることは、「縦」と「横」の関係です。
・「縦」→なぜ?どのように?の答えがあること
・「横」→演繹的論理か帰納的論理かになっていること

(演繹と帰納の説明は別の書評時にも記載したため割愛します)

ここまでが、ピラミッド構造で考えるという話しになりますが、
さらに、この前段として重要になるのが、「導入部のストーリー展開」になります。
これは、ピラミッド構造で作り上げた論理の前に、読み手に関心を持ってもらうためのストーリー展開になります。
読み手がよりイメージをしやすいように仕向けるためのものです。

導入部のストーリー構成は以下4つになります。
①状況(事実や問題)
②複雑化(①に対して、③につながる事柄)
③疑問
④答え

たとえば、
①問題が発生した
②解決方法を知っている
③解決方法を実行するにはどうしたらよいか
④こうするべきだ

というようなストーリー構成が出来上がります。上記は基礎パターンですが、内容によっては、②が先に来たり、③が先に来たりとありますが、本質的な考えは同じです。

導入部のストーリーパターンは、ビジネスの状況によってさまざまなため、方針やハウツーなど状況に応じた内容が紹介しています。

これら導入部のストーリーが出来て、④のピラミッド構造を作り上げていく順番になります。
ピラミッド構造は、さきほどの演繹法か帰納法のどちらかで進めていきます。

これらを意識して考えていくことで、次第に頭の中で自動的にピラミッド構造で整理できると伝えています。

「2.考える技術」
書く技術が整ったら、書いた内容がしっかり理にかなったものか修正する技術が必要になります。

その技術は大きく2つに分けられ、
1つめが「ロジックの枠組みを見つけて、順序立てしグループを作成」
2つめが「本質的な考えを抜き出し、グループを要約」
をすることになります。

①ロジックの順序立て
ロジックを順序立てし、グループ化するときには、以下3つの考え方があります。
⑴時間の順序

・作業仕様書などはじめに〇〇を用意し、その次に〇〇をつくるなど、実際の行動ステップとなるもの
・5月に営業強化施策を実施するため、4月上旬に顧客リストの整理、中旬に担当区域の選定、下旬に役員へ説明など、頭で考えたプロセスから導かれるもの など

⑵構造の順序

・会社組織であれば、経営企画部・商品開発部・営業部・システム部
・組織活動であれば、調査・研究・営業・製造 など

※構造は文字で書くより、図で表した方がイメージしやすいと思います。

⑶度合いの順序

・3つの共通した課題、
・成功した4つの要因
など、他にも考えられる要素はあるが分類することで自分の考えを絞り込むこと。
このグループ分けをする時は、モレやダブりがないのが前提になります。

以上、前段の書く技術で出した情報から、上記のロジックに当てはまるものを見つけ、グループ(形)を作っていく作業になります。

②グループの要約
①でできたグループについて、要約する作業になります。
これまで作ってきた内容も相手に伝わらなければ無駄になってしまいます。そのため、要約という作業でより説得性のある内容に仕上げていく必要があります。

重要なのは、読み手がいかにイメージできるかです。
そのために、具体的な言葉を使うこと、類似点を見つけ同じカテゴリー分けること、関連性を見出すことが上がられています。
※たとえば、文章の中で〜できないという「否定」と〜したいという「希望」の2つが多く含まれているので、これらをふまえて共通している問題を見つけていく など

ここでは、まとめる力の重要性について説明しています。

ざっと流れはこんなところですが、本書で学びながら実際に身近な例をあげて書く練習をしてみると、イメージがついてくると思います。

本書は書くことが主題ではありますが、考え方を学ぶことが前提ですので、本書の手法を使えば以下のような場面でも大変参考になると考えられます。
・お客様に納得させたい
・行き詰まっているので解決方法が知りたい
・部下に理解して動いてもらいたい
・効率よく仕事を進めたい
・たくさんの情報をきれいに整理したい

文章作成が多い仕事の方はもちろん、今後マネジャーとして問題解決に取り組みたい方、部下を指導していく立場になる方なども本書は勉強になります。
少し内容が難解なため、1度のみでなく数回読んで理解を深めることをおすすめします。
この内容が理解できれば、読み手を納得させる論理的な文章作成スキルと問題解決スキルが格段アップすると思います。

以下、参考になった部分をピックアップします。
・最もわかりやすい順序とは、まず全体を要約する考えを述べ、そのあとに個々の考えをひとつひとつ説明していくことです(P10)

・あなたの書く文書は原則として次の4つのいずれかの疑問に答えようとしています。
1.我々は何をすべきか?
2.我々はそれをどのように実行すべきか?(あるいは、どのように実行したか?どのように実行するだろうか?)
3.我々はそれを実行すべきか?
4.なぜそのようなことが起きたのか?
(P67)

・書くという観点から見ると、考えには2つの種類、行動の考えか状況の考えしかありません。つまり、読み手に何かをすべきだと伝えるのか、何かがこういう状況だと伝えるのかのどちらかです(P154)

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